今月いっぱいで終了と聞いて。話の種に少しだけプレイすることにした。
日本オンラインゲーム界に暗澹と横たわる失敗の金字塔『イクシオンサーガ』。それが今終わろうとしている。
サービス終了からわずか10日前の告知という異例の措置。
とりあえず起動してみればわかる「金かかってんな」感、メディアミックスによる広範囲なプロモーション。それにも関わらず、ろくにプレイヤーが集まることもなく終焉を迎える。プロデューサーであるギウラスこと杉浦一徳氏の進退にも少なからざる影響を与えたと思われる呪われしタイトルである。
このタイトルが発表されたのは2011年の初夏の頃であるようだ(
参考)。ちょうど僕がMHFを始めた頃であり、各所で名前だけは聞いていた。そして「生まれる前から死んでいる」「爆死オンサーガ」などという不名誉な呼び方も。当時は特に興味もなく、気にも留めていなかったと思う。
少し話題になったのはアニメ『イクシオンサーガDT』放映の頃だろう。アニメのほうは比較的好調で、今度
ブルーレイボックスも出るようだ(発売を待たずして終了してしまうなんて…)。かつて販売された単品のブルーレイにはMHF用のイベントコードも付属した。MHFプレイヤーで、アニメが好きでブルーレイも買ったという知人がいるが、イクシオンサーガは起動すらしなかったという(そちらで使えるコードもあるのに)。
アニメ自体は話題になったが、原作であるはずのゲームの評判は鳴かず飛ばずのまま。アップデートは2013年末に行われたきり2年近く放置。ハンゲームのポータルで見られるプレイ人数は1桁。なぜか終了しないことからカプコンの税金対策としての赤字部門説まで唱えられる始末だったゲームが、今終わる。
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ここからが本題。なぜイクシオンサーガは失敗したのか。対人制はそもそも日本人向きでは無いなどのゲームデザイン上の問題を除けば、答えはたった一つ「
MHFのプレイヤーの方を見ていなかった」ことだと言い切れる。
考えてもみて欲しい。
COG(カプコンオンラインゲームズ)の会員であり、3DアクションゲームをプレイできるPCを所持する人で、MHFのプレイヤーではない人間が何割いるというのか。メディアミックス以降はいざしらず、初動としてはMHFプレイヤーを取り込まなければ話にならない。完全新規のオリジナルタイトルといえども、既存タイトルの資産は活用すべきである。にも関わらず、彼らの存在は蔑ろにされていた。
まずは操作について。最低でも「十字キーで視点移動」という、無印以来の伝統である「モンハン持ち」スタイルに適した操作体系を、デフォルトとまではいかずともコンフィグから一発で設定できるようにすべきだった。ギウラスの新作ということで興味本位で手を出したMHFプレイヤーは相当数いただろうが、大半は操作で投げただろう。ただでさえ操作の複雑なアクションゲームにおいて、新たな操作体系に順応するストレスというのは、恐らくゲーム開発者側が思っているよりもずっと大きい。
そしてもう一つ。
ロビーではボタン一つで課金チャージのウィンドウが開くという狂った仕様。MHFでは公式サイトにアクセスしない限りは絶対にそんな画面は出てこない。自分の場合はCAPがすっからかんの状態だったので実害は無かったが(そもそも11月20日の時点で販売はストップしていたようだが)、操作ミスでチャージしてしまった人も相当数いるのではないか(ある程度の確認画面は出るとは思うが)。この仕様に「わぁい、気軽に課金できるぞ♪」なんて思うユーザーがいるとでも思ったのだろうか。
まだある。チャットシステムの不便さだ。散々ロートル扱いされているMHFより新しいゲームにも関わらずチャットの使い勝手が悪い。何らかの理由でメッセージを送信できなかった場合は即座に破棄されるとはどういうわけだ。MHFでは送信失敗したメッセージでも履歴に残り、ボタン一つで呼び出せるぞ。ワールドチャットにおける連続発言の制約も厳しすぎて使えたものじゃない。この手のゲームは混沌とするくらいチャットが盛り上がってこそ面白いのに。問題が起きれば後から対策すれば良いのであり、基本はユーザー任せにすべきだ。MHFで言えば某閣下の爪の垢でも煎じて飲むべきである。
対人、つまり他のプレイヤーの存在を前提にしているにも関わらず、各ランドの人数が見えないというのも意味不明な仕様である。マッチングがどうなってるのか知らないが、まずはエリアチャットなどで質問したいという初心者はいくらでもいるだろう。そういう人はどこに行けばいいのか?道筋が全く示されない。MHFでいう入門区のような場所もない。
最後に重大なポイントは「MHFと同時起動できない」ことだろう。MHF同士の二重起動はできるのだから、せめてMHFとイクシオンを1つずつ動かせるようにはして欲しかった。Fのほうのフレンドとチャットで会話しながら遊ぶというプレイスタイルは想像できなかったのだろうか。それとも純粋に技術的な問題だったのだろうか。
ざっと数回程度の対戦を行うだけでもこれだけの問題点が出てくる。恐らくサービス開始当初も同様であったに違いない。本来は最初から対策すべき問題だが、少なくともテスト期間などで声が挙がった時点で対応すべきだった。それを果たせなかった時点で、死ぬべくして死んだオンラインゲームと言えるだろう。
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最終日の0時ごろの記念撮影。20人くらい集まったのかな?

それにしてもネトゲの終焉というのは寂しいものである。最後だけつまみ食いのように顔を出した自分にとってさえ。